数年前、職場で初めてパソコンのハードディスク(HDD)をSSDに交換したときのこと。
メーカー製のPCだったのですが、先輩SEに習いながら、自分で起動ディスクをUSBメモリで作成し、そこからWindowsをインストールしました。
「このパソコン、ライセンスの再認証ってどうなるんだろう?」「インストール中に何か聞かれたりしないのかな?」と、当時は少し不安もありました。
でも、いざやってみると、何も聞かれないままWindowsが無事に起動。後から考えると、マザーボードに紐付いた「デジタルライセンス」によって、自動的に認証されていたんですね。
もしこれが自作PCだったら? 中古で買ったライセンスなしのPCだったら?
そんな疑問がどんどん湧いてきたので、今回あらためて、Windowsのライセンスの種類と再インストールの可否についてまとめてみました。
Windowsのライセンスにはいくつかの種類がある
Windowsは無料ではありません。ですが、再インストールの場面では「無料でできた」という経験を持つ方も多いのではないでしょうか?
それは、使っているパソコンに付与されたライセンスの種類によって結果が異なるためです。
ここではまず、代表的なライセンスの違いを簡単に整理しておきましょう。
💡 Windowsライセンスの主な種類(概要)
種類 | 特徴 | 再インストール | 他PCへの移行 | 主な入手経路 |
---|---|---|---|---|
OEM版 | メーカー製PCに最初から入っている | ✅ 同じPCならOK | ❌ 不可 | メーカー製PC |
DSP版 | 自作PC用。パーツとセット販売 | ✅ 同構成ならOK | ❌ 不可 | パーツショップなど |
パッケージ版 | USB付きの正式ライセンス | ✅ 何度でもOK | ✅ 可(1台のみ) | 家電量販店・通販 |
デジタル版(ESD) | ダウンロード販売。アカウント紐付け | ✅ OK | ✅ 可 | Microsoft Store等 |
ボリュームライセンス(VL) | 法人・教育機関向け | ✅ OK(管理者による) | ✅ 条件次第 | 企業契約 |
このように、一見どれも「Windows」ですが、ライセンスの種類によって再インストールやPC移行の可否が大きく変わるのです。
だからこそ、「HDD交換」「自作PC構築」「マザーボード交換」などのタイミングで、ライセンスの知識が必要になるというわけですね。
再インストールができるパターンと、できないパターン
Windowsの再インストールは「いつでも無料でできる」と思われがちですが、実はそうではありません。
再インストールできるか、そしてライセンス認証が通るかどうかは、どの部品を交換したかと、もともと持っているライセンスの種類によって変わってきます。
ここでは、よくあるパターンごとに分けて整理してみましょう。
💻 パターン1:HDD(またはSSD)を交換した場合【⭕認証OK】
✅ 例:メーカー製PCのHDDをSSDに換装した
この場合は、マザーボードがそのままなので、Windowsが自動的にライセンスを認証してくれるケースがほとんどです。
私自身、職場のPCでSSDに換装したときも、「プロダクトキーは必要かも?」とドキドキしていたのですが、何も聞かれずにスムーズに再起動。後から考えると、「デジタルライセンス認証」がマザーボードに紐づいていたからなんですね。
✅ 起動ディスクをUSBメモリで作っておけば、問題なくインストールできるパターンです。
🧰 パターン2:自作PCにWindowsを新規インストール【⚠ライセンスが必要】
✅ 例:自分で組んだPCに初めてOSを入れる場合
この場合、マイクロソフト側が“このマザーボードにはまだWindowsのライセンスが存在しない”と判断するため、認証はされません。
つまり、パッケージ版やDSP版などの「プロダクトキー」が必要になります。
「OS自体のインストール」はできますが、認証が通らないと、以下のような制限がかかります:
- デスクトップの右下に「ライセンス認証してください」という表示
- 壁紙変更などのカスタマイズ不可
- 一部の機能制限や警告表示
🧯 パターン3:マザーボードを交換した場合【❌原則NG】
✅ 例:電源が入らなくなってマザーボードを交換した
ここが落とし穴になりやすいポイントです。
Windowsはマザーボードの構成情報を使ってライセンス認証を行っているため、マザーボードを交換すると「別のPC」と見なされてしまいます。
特にOEM版やDSP版のWindowsを使っていた場合は、基本的にライセンスは引き継げません。
ただし、パッケージ版やデジタルライセンスでMicrosoftアカウントと紐づけていた場合は、「ハードウェア構成の変更後に再認証を行う」ことも可能です。
📊 ケース別まとめ表
パターン | 再インストール | 認証の可否 | ライセンス必要? | 補足 |
---|---|---|---|---|
HDD/SSD交換 | ✅可能 | ✅通る(自動) | ❌不要 | 同じPC構成ならOK |
自作PC(初回) | ✅可能 | ❌通らない | ✅必要 | パッケージ or DSPを準備 |
マザーボード交換 | ✅可能 | ❌原則通らない | ✅必要(再認証対応あり) | OEM/DSP不可、パッケージは移行可 |
Windowsライセンスの種類と、それぞれの特徴と注意点
Windowsには、見た目は同じでも「どうやって購入したか」によって異なる複数のライセンス形態があります。
このライセンスの違いが、「再インストールできるか」「PCを変えたときに使えるか」に大きく関わってきます。
🔸 OEM版(メーカー製PCに最初から入っているもの)
- 特徴:
- 富士通やNEC、HP、DELLなどのパソコンにプレインストールされているWindows。
- Windowsのライセンスはマザーボードに紐づいており、他のPCでは使用不可。
- 注意点:
- HDDやSSDの交換はOK(再認証される)
- マザーボードを交換すると、ライセンスは無効になる
- ライセンス証明書やプロダクトキーが付属していないこともある
- ✅「そのPCだけで使うなら問題なし」
🔸 DSP版(パーツとセットで販売されるもの)
- 特徴:
- 自作PC向けに、マザーボードやSSDなどのパーツとセット販売されるWindows。
- 原則として、セット購入したパーツ構成のPCでしか使えない。
- 注意点:
- マザーボードを交換するとライセンスは無効
- パッケージ版より安価で手に入りやすい
- 一度インストールしたらそのPCに縛られる(移行不可)
- ✅「コスト重視の自作派にはアリ。ただし買い直しの可能性あり」
🔸 パッケージ版(USBメディア付きの正規版)
- 特徴:
- 家電量販店やAmazonなどで販売されている一般向けの正規版ライセンス。
- USBメディアが付属しており、インストール作業も簡単。
- ライセンスは同時使用は1台までだが、他のPCへ移すことが可能。
- 注意点:
- 価格はやや高め(2万円前後)
- Microsoftアカウントと紐づけておくことで、再認証がスムーズに可能
- ✅「長く安心して使いたいならこれが最強。自作PCや買い替え予定がある人向け」
🔸 デジタル版(ESDライセンス/ダウンロード販売)
- 特徴:
- Microsoft公式ストアやAmazonなどで購入できるプロダクトキーのみのライセンス。
- インストールメディアは自分で作成(USB作成ツールを使用)。
- パッケージ版と同様、移行や再認証も可能。
- 注意点:
- メディアは付属しない(自分でUSB作成が必要)
- Microsoftアカウントと紐づけることで、認証や再インストールがスムーズに
- ✅「手軽に正規ライセンスを得たい人におすすめ」
🔸 ボリュームライセンス(VL)※企業・教育機関向け
- 特徴:
- 企業や学校など、大量導入向けのライセンス契約
- MAK(複数回認証)やKMS(社内サーバーで一括認証)などの形式がある
- 注意点:
- 個人利用はNG(企業契約が必要)
- オークションなどで流通している格安ライセンスは違法なVLの可能性あり
- ❌「個人利用者は選ばないこと。むしろ注意!」
📌 ライセンス比較表(まとめ)
種類 | 移行 | 再認証 | 入手方法 | 想定ユーザー |
---|---|---|---|---|
OEM版 | ❌不可 | ✅可能(同じPC内) | メーカー製PCに付属 | 一般ユーザー |
DSP版 | ❌不可 | ✅可能(同構成) | パーツとセット | 自作ユーザー |
パッケージ版 | ✅可 | ✅可 | 店頭・通販 | 自作・買い替え予定者 |
デジタル版 | ✅可 | ✅可 | オンライン販売 | すぐ使いたい人 |
VL版 | △条件付き | ✅社内管理下 | 法人契約 | 企業・学校 |
今のPCのWindowsライセンスの種類を確認する方法
ここまで読んできて、
「じゃあ、自分のPCはどのライセンスなの?」と思った方も多いのではないでしょうか。
安心してください。簡単に確認する方法が2つあります。
特別な知識がなくても使えるので、これを機に一度チェックしてみるのもおすすめです。
🔍 方法①:コマンドプロンプトで確認(最も手軽)
Windowsには、コマンド1つでライセンス種別を表示する機能があります。
🔸手順
- キーボードの「Windowsキー + R」で「ファイル名を指定して実行」を開く
- 「
cmd
」と入力してEnter - コマンドプロンプトが開いたら、次を入力:
slmgr /dli
🔸表示結果の見方(一例)
ライセンスの状態: ライセンスされています
ライセンスの種類: OEM_DM
表示 | 意味 |
---|---|
OEM_DM | OEM版(メーカー製PCに付属) |
RETAIL | パッケージ版またはデジタル購入 |
VOLUME_MAK / KMS | 法人用のボリュームライセンス |
※表示が英語の場合もありますが、見慣れればすぐに意味がわかります。
🧰 方法②:無料ツール「ShowKeyPlus」で確認(GUIでわかりやすい)
コマンドが不安な方には、「ShowKeyPlus」というフリーソフトもおすすめです。
🔸ShowKeyPlusの特徴
- インストール不要(ZIP版もあり)
- 現在のプロダクトキーやライセンス種別がすぐに表示される
- 元のOS(Windows 8.1など)も確認可能
🔸ダウンロード先(公式)
Releases · Superfly-Inc/ShowKeyPlusWindows product key finder and validation checker. Contribute to Superfly-Inc/ShowKeyPlus development by creating an acc...
✅ 安全に使いたい方は、Microsoft Storeからも入手できます。
💡 よくある注意点
- OEM版は「マザーボードに埋め込まれている」ことが多く、コマンドやツールで確認しやすいです
- DSP版は表示が「OEM」と同じになることがありますが、パーツとの購入履歴などで判断する必要があります
- パッケージ版やデジタル版は「RETAIL」と表示されることが多いです
✅ 確認したら、控えておくと安心
- 現在のライセンス種別
- プロダクトキー(表示される場合のみ)
- Microsoftアカウントに紐づけ済かどうか(設定 → アカウント → ライセンス状態)
特にトラブル時やPCを買い替えるとき、これらを把握しておくだけで対応のスムーズさが大きく変わります。
まとめ|ライセンスの違いを知っておけば、もう怖くない!
今回は、Windowsの再インストールやHDD交換、自作PCに関わる**「ライセンスの種類と移行の可否」**について解説してきました。
改めて、この記事の要点を振り返ってみましょう。
✅この記事のポイントまとめ
- Windowsのライセンスには、OEM・DSP・パッケージ・デジタル・ボリュームなど複数の種類がある
- HDDやSSDの交換では、多くの場合ライセンスは引き継がれる(マザーボードが同じならOK)
- 自作PCやマザーボード交換時には、ライセンスの再購入が必要なケースもある
- 自分のPCのライセンスは「slmgrコマンド」や「ShowKeyPlus」で簡単に確認できる
🎯 初めて交換や再インストールをする方へ
私自身、初めてSSDに交換したときは「ライセンスって引き継がれるの?」「認証されなかったらどうしよう…」と不安もありました。
でも、実際には何も聞かれず起動できたことで、「仕組みを理解すれば不安は減る」というのを実感しました。
だからこそ、今後同じような場面に出くわす方に向けて、この記事が“安心してチャレンジできる知識”になることを願っています。
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✍ 最後に…
もし「このPC、そろそろHDDからSSDにしたいな…」という方がいれば、
ライセンスの心配よりも「バックアップ」と「USB起動ディスクの作成」を優先してOKです。
あとは、この記事の内容を思い出しながら進めれば、意外とすんなりいくはずです!
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